日常勤行式のお話⑤~懺悔偈~
今回は、「懺悔偈(さんげげ)」についてお話をしたいと思います。
懺悔偈は「華厳経(けごんきょう)」というお経の一部から引用されています。
このようなお経です。
「我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身語意之所生 一切我今皆懺悔」
意味は、
「私は昔から数え知れない罪をおかしてきました。
それは限りなく遠い過去からの むさぼり・いかり・おろかさによるものであります。
それらは私の身体・言葉・意識によって生じたものであります。
今その一切を反省し懺悔いたします。」
となります。
仏教には、「三毒(さんどく)」とも言われる、「貪瞋痴(とんじんち)」という悪い3つの心の働きがあります。
まず、「貪(とん)」は正式には「貪欲(とんよく)」と言い、むさぼる心の事で、何でも欲しがってしまうことです。
そして、「瞋(じん)」は正式には「瞋恚(しんに)」と言い、いかりの心の事で、何にでも怒ってしまうことです。
最後に、「痴(ち)」は正式には「愚痴(ぐち)」と言い、間違った見方をしてしまうことを言います。
私達は、この三毒が原因で言葉や行動で罪を作ってしまいます。
もちろん、ここでの罪とは法律に照らした罪のことではなく、仏教の視点から見た罪のことを言います。
例えば、どのような方でも嘘をついてしまったことがあるでしょうし、小さな虫などを殺してしまったことがあるでしょう。
このようなことは法律で罪となることははありませんが、仏教では立派な罪とみなされ、その報いとして地獄に落ちてしまうこともあります。
だからこそ、お念仏をお称えすることが大事です。
罪を重ねてしまう私達が、地獄行きを免れるためには、お念仏をお称えして阿弥陀様に極楽へと導いて頂く他ありません。
この懺悔偈を通じて、自らの罪を自覚し反省しすることが、心からお念仏をお称えすることへと繋がります。