仏教と植物のお話②~クマガイソウ~
今回はクマガイソウのお話をさせて頂きます。
クマガイソウは、ランの一種で日本全国の低山で見られるようです。
誓願寺では、境内の庭園に地植えで栽培されていますが、低山ではなく平地でクマガイソウが見られるのは、平均気温が低い旭川だからこそかもしれません。
クマガイソウの由来は、法然上人の弟子の熊谷直実(くまがいなおざね)からつけられています。
熊谷直実は、源平合戦のときに源氏側で活躍した武士です。
合戦中に、敵の総大将である平清盛の甥である平敦盛(たいらの)を打ち取りますが、敦盛はまだ16歳という若さでした。
実は、直実にも敦盛と同い年の16歳になる息子がいますが、自分の息子と同い年の若者を打ち取ってしまった直実は、そのことをきっかけ出家し法然上人の弟子となります。
クマガイソウという名称は、この熊谷直実が着用した母衣(ほろ)と呼ばれるマントのようなものが翻る姿と、クマガイソウの唇弁と呼ばれる下図の部分が似ていることから名づけられました。
浄土宗と縁が深いクマガイソウですが、絶滅危惧種にも指定されており、自生しているものはかなり少なくなっているようです。
開花時期は5月頃ですので、お近くにお寄りの際は是非ご覧ください。
ちなみに、熊谷直実が打ち取った平敦盛を由来とするアツモリソウという植物もあります。
次回はそのアツモリソウについてお話させて頂きます。